相続税の納付を延期できる~延納制度について~
相続税は原則、相続開始(命日)から10ヶ月以内で一括現金納付しなければなりません。
ただし、相続財産が現預金や有価証券等すぐに換金できるもの以外のものの割合が多い場合
(例えば、相続財産が不動産のみの場合)には、現金で一括納付することが困難な相続人が生じることが想定されます。
そのため、相続税には延納制度が規定されています。
ただし、すべての相続人が延納制度を利用できるかというと、そういうわけではなりません。
相続税の延納が認められる要件
相続税の延納制度が認められるためには、下記の要件を満たす必要があります。
- 相続税額が10万円を超えていること
- 相続税の申告期限までに現金で納付することが困難であると認められること
- 担保を提供することができること(納付税額が50万円未満・延納期間3年以下の場合は不要)
なお、担保に提供できる財産も、有価証券や土地建物等一定のものに限られます。
延納時には利息が発生!
延納もただでは税務署は認めてくれません。延納期間及び相続財産の種類に応じて、利子税(支払利息)が発生します。
原則的には、年利3.6%~6.0%の間で発生することになるのですが、現状は市場で低金利状態が続いているため、税務上もこの点を考慮して、年利0.7%~1.3%とより低い利子率を設定しています。
例:
不動産、事業用減価償却資産、特定同族会社株式等(不動産等)の相続財産に占める割合が50%未満
延納期間5年⇛年利1.3%
延納制度を活用すべきときは?
延納制度を利用するには、担保提供や、現金一括納付が困難であることを証明するための理由書の作成が必要になります。また、延納制度が利用できることになったとしても、利子税の負担があり、延納制度を利用するにはそれなりにハードルが高いのが現実です。
ですが、本当に期限内に納税するのが難しい場合等には必ず適用すべき制度だと思います。
延納制度を利用せず、納税額を期限内に収めないといった場合には、上記の利子税以上に余計な税金を支払うことになるからです。
一旦、延納制度を利用し、その期間で不動産を売却後、その売却資金を納税額に使用するといった方法が一般的かと思います。
相続財産がほぼ不動産の場合等、納税資金が不足していることが想定されている相続人の方は弊社へお気軽にご相談ください。
また、納税資金対策は生前に行う方が有効となりますので、生前の相続税納税資金対策についてもご相談ください。