NISA口座は相続できない?〜NISA口座の相続について〜

「NISAは非課税だから、相続のときも安心」と思っていませんか?
実はNISAの非課税という恩恵は、口座名義人が亡くなった瞬間に消えてしまいます。この記事では、NISA口座に対する課税関係を順序立てて解説します。

📋 この記事のポイント

NISAの非課税は死亡した瞬間に終わる

 NISAの最大の魅力は、運用中の利益(売ったときの儲けや受け取った分配金)に税金がかからない点です。しかしこの非課税の恩恵は、口座の名義人が生きている間だけなんです。

名義人が亡くなると、その日のうちにNISA口座は「普通の財産」として扱われるようになります。

 つまり、どれだけ長くNISAで運用を続けていても、死後は通常の相続財産(亡くなった方が残した財産)と同じ扱いになり、相続税(家族が財産を引き継ぐときにかかる税金)の対象になります。「非課税口座だから相続税もかからない」は残念ながら誤りです。

 ただし、相続税には「基礎控除」という非課税枠が設けられています。NISA資産も含めた相続財産全体の金額がこの基礎控除額を超えない限り、相続税はかかりません。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されますので、一つの目安として把握しておきましょう。

相続税はどうやって計算される?

 では、NISA内の投資信託(プロが複数の株や債券をまとめて運用する金融商品)は、相続税の計算でいくらと評価されるのでしょうか。

 ポイントは「死亡した日の基準価額(投資信託の1口あたりの値段)」を使うという点です。たとえば、亡くなった日に投資信託の基準価額が1万円で、500口(くち)持っていたとすれば、500万円が相続税の計算のベースになります。

購入したときより値上がりしていれば、その分だけ評価額も高くなります。長年コツコツ積み立てて資産が大きく育っていた場合、相続税の計算に使われる金額もそれだけ大きくなる点は注意が必要です。

 評価のタイミングは「亡くなった日」と決まっていますので、その日の市場の動きが評価額に直接影響します。

相続人はNISA口座をそのまま引き継げない

 「亡くなった親のNISA口座を、そのまま自分のNISA口座として使い続けられる」と思う方もいるかもしれませんが、これは制度上できません。NISA口座は名義人本人だけが使える口座です。相続人(財産を受け継ぐ家族など)が故人のNISA口座を引き継いで、そのまま運用を続けることは認められていません。

 では、NISA内の投資信託はどうなるのでしょうか。相続の手続きを経て、相続人が受け継ぐ場合は、故人のNISA口座から相続人自身の「課税口座(通常の証券口座)」へ移管(移し替え)されることになります。故人が保有していた証券会社に口座がない場合には、相続人名義の口座の開設が必要になります。

 もし相続人がNISAを活用して運用を続けたいのであれば、一度相続した投資信託を売却し、その売却代金で新たに自分自身のNISA口座で投資信託を購入する必要があります。この場合、株式の売却時の時価が相続時の時価よりも高い場合には所得税が発生することになります。(「課税口座に移管された後の注意点」参照)

課税口座に移管された後の注意点

 NISA内の投資信託が課税口座(通常の証券口座)へ移管される際の注意しておくべきところは「取得価額」の扱いです。

 課税口座に移管された投資信託の「取得価額」は、通常、故人が亡くなった日の基準価額(相続税評価額と同額)として再設定されます。この新しい取得価額を基準に、その後の売却益が計算される点に注意です。

たとえば、移管時の基準価額が1万円の投資信託を、後に1万2,000円で売った場合、取得価額が移管時の1万円と正しく設定されていれば、2,000円分にだけ約20%の税金がかかります。

 NISA口座以外の口座で保有していた場合は、相続人に引き継がれる「取得価額」は、相続時の時価ではなく、故人が取得した時の取得価額になります。 NISA口座とその他の口座で取り扱いが明確に異なりますので、この部分は混同しないように特に注意してほしい点になります。

生前にできる備えと家族への情報共有

 NISA資産に関する死後のリスクを知ったうえで、生前にできる備えを考えてみましょう。

まず最も大切なのは、家族への情報共有です。「どの証券会社に口座があるか」「どんな投資信託を保有しているか」「おおよその評価額はいくらか」を、エンディングノートや書面にまとめておくだけで、残された家族の手続きがぐっとスムーズになります。

 次に、自分のNISA資産が相続財産全体の中でどのくらいの割合を占めるかを把握しておくことも重要です。資産が大きければ相続税の負担も生じる可能性があるため、全体像を定期的に見直す習慣をつけましょう。

 「まだ先の話」と思わず、元気なうちに少しずつ整理しておくことが、家族への最大の思いやりになります。

まとめ

 NISAの非課税メリットは、名義人が生きている間だけのものです。死後は通常の財産と同じく相続税の対象となり、口座の引き継ぎもできません。大切な資産を家族に安心して残すために、今日から情報の整理と共有を始めてみましょう。

 具体的な相続税の試算や相続時の口座相続の手続きについては、税理士などの専門家への相談もぜひ検討してみてください。

📚 参考情報ソース

※ 上記ソースは記事作成時点のものです。URLが変更されている場合があります。

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