相続税のかからない財産~非課税財産とは
基本的には亡くなった人の保有していた財産全てが相続税が発生します。ただし、その内容によっては相続税を課すことが適切でない等の理由から相続税が発生しない財産が存在します。
相続税がかからない財産
亡くなった人の財産のうち、相続税がかからない財産には下記のようなものがあります。
種類 | 具体的な例 |
日常礼拝をしている物 | 墓地、墓石、仏壇、仏具 |
配偶者や子供が受け取る生命保険金 | 500万円✕相続人の数(※1) |
亡くなった人の死亡退職金 | 500万円✕相続人の数(※1) |
亡くなった人の弔慰金 | 報酬月額✕6ヶ月 業務上の死亡の場合は36ヶ月 |
公益事業用の財産 | 公益を目的とする事業に 使用することが明らかなもの |
相続申告期限までにした 一定の寄付したもの | 国または地方公共団体、 公益を目標とする事業への寄付 |
※1 この相続人の数には相続放棄をした人も含まれます。
相続対策にも使える!
墓地、墓石は生前に購入を。
墓地墓石等は上記のとおり、相続税はかかりません。そのため、生前に自分の墓地を自分で購入することによって、残された人(相続人)の相続税の負担を軽減できます。なお、墓地購入代金が未払いの場合には、その購入代金は手持ち現金預金として残ったままになるので、相続対策にはならないので、支払いも完了させておくのがポイントです。
ただし、相続対策として、 社会一般的な感覚から節度を超えたような、日常礼拝にはそぐわない高級な仏像を購入すると、その仏像は相続逃れとして相続税の対象とされてしまう可能性がありますですので、程々にしておく必要はあるかと思います。
生命保険金の非課税枠まで生命保険の契約を。
残された人に確実に現金を残すという意味で、生命保険金は有効ですが、相続税対策としても使うことが出来ます。
基本的には500万円✕相続人の数まで相続税はかかりません。
例えば、お父さんを被保険者とする生命保険にお父さんが保険料を支払って加入した場合、お母さんとお子さん2人がいる場合には、残された人(相続人)の数は3人(お母さん1人、お子さん2人の合計)ですので、500万円✕3人の1,500万円までであれば、その保険金に相続税はかかりません。保険に加入して保険料を1,500万円支払うことにより、ほぼ1,500万円(返戻率により異なります)を税金(贈与税)を支払うことなく贈与したのと同じ効果を得ることが出来るのです。
ちなみに3人に500万円ずつ1年で贈与した場合には贈与税は3人合計で159万円(子供は未成年を前提)もかかってしまいます。
死亡退職金は支給すべき。
同族会社であれば、退職金の支給規定に「死亡退職金」を支給する旨の規定を設けておくべきだと思います。なぜなら、上記の通り、死亡退職金には一定の非課税枠があるからです。また、弔慰金の支給規定も合わせて作成しておくことで、役員報酬月額の6ヶ月分は相続税はかかりませんので、残された人により多くのお金を残しておくためには有効な手段だと思います。
(同族会社の株式が相続財産である場合にはその相続税評価額も死亡退職金等を支給することで減額されることがありますので、その点でも相続対策に有効です。)
相続税のかからない財産の規定をうまく活用しよう!
このような決まりごとをうまく利用して、生前に相続税対策をしていけば、より多くの財産を残された人に相続税の負担なしで残すことが可能です。
まだ、取り組まれていないものがある方は、これを機会にぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。